映画
U・ボート
ディレクターズ・カット
の感想


作品の紹介感想おまけ参考資料

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開設 1999年05月07日 更新 1999年05月07日



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作品の紹介

 この映画は、1982年に日本でも公開されていますので、かなりの方がご存知と思われます。又、映画は知らなくてもBGMのメインテーマは、日本のTV番組などでも結構使用されているので、この勇ましくカッコ良い?メロディーはたぶんチョコッとは聞いた事が有ると思います。

 今回上映(1999年5月東京・有楽町スバル座)されたのは、6時間以上の撮影済みフィルムから再編集して3時間29分にまとめ、音声の効果をデジタル技術で処理してさらに臨場感を高めた作品になっています。
(ちなみに、前の映画版は2時間15分でした。)

 一応あらすじをご紹介しますと、
 第2次大戦中、ドイツ軍報道部の記者であるヴェルナー中尉は、海軍の主力であった潜水艦U・ボートに乗組む事になった。
 大西洋を航行するイギリスなどの連合軍輸送船団を攻撃する為にフランスのラ・ロシェル軍港を出港するU・ボート[U96]は、彼の他に艦長や機関長以下43人の乗組員で構成されるが、苛酷な任務を繰り返し心が荒廃している乗組員達に彼は途惑う。
 出港後の数日間は、荒天の激しい波浪に苦しみ、敵の駆逐艦の烈しい爆雷攻撃に怯えながらも耐え抜くが、なかなか敵の輸送船団は発見できない。
 この忍耐と焦心で憔悴しながらも、遂に敵の輸送船団を発見し攻撃に成功する。しかし、敵の執拗な反撃に遭い追い詰めら数時間の恐怖にさらされながらも、どうにか切り抜ける事が出来た。
 しかしこの後、彼らは勝利の戦果と裏腹に凄惨な決断をしなければならなくなる・・・。
 そして彼ら自身にも非情な命令が待ち受けていた・・・。


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感想

 何回観ても、

「素晴らしい。」
そして
「哀しい。」

に尽きます。まさに、戦争映画の最優秀傑作作品と言っても良いかもしれません。

 まず特徴として、政治的な背景がそれほど盛り込まれていない為に、変な先入観無しで映画が観れます。
 また純粋?な戦闘映画としては、カッコ良く派手な戦闘シーンが有る訳ではありませんが(BGMはカッコ良い)、リアルな演出に引き込まれ見入ってしまいます。それでいて、戦闘(戦争)は格好良いとは思わせない様にも作られています。

 そしてなによりも、製作者側が伝えたいと云うテーマが、解り易く飲み込めると云う事でしょうか。

 この映画の持っているパワーは、最近製作されている戦争映画などにも決して引けを取らないものが有ると思います。

 最近観た映画「シン・レッド・ライン」と比べても、極限状態に追い込まれて行く人間の壮絶さを訴える力は、全く同等レベルと思います。
 確かに、個人そのものの極限状態の心理を訴えかける手段(演出)は「シン・レッド・ライン」の方が遥かに上だと思います。しかし、全体としては少々解り難くなってしまっているので、最後のシーンの捉え方によっては「ウィット二等兵が可哀相。」なだけの映画になってしまう可能性が無いとは言い切れません。
 また、「U・ボート」のスタッフらによる映画「スターリングラード」も戦争の悲惨さと極限状態の葛藤を凄く上手く表現した映画なのですが、少々凄惨過ぎるシーンが有るなどで、敬遠されてしまうかもしれません。(ラストも哀し過ぎる。)
 その点、「U・ボート」はU・ボートと云う物をメインの一つとして扱っているので、解り易さと云う観点では遥かに勝っていると思います。

 どれも戦争と云う重いテーマを扱っている最優秀傑作作品と思いますが、解り易く観易いと云う映画としての一番良い条件が整っている「U・ボート」が最もお勧めの作品です。
(凄惨なシーンを我慢できれば「スターリングラード」が本当は一押しです。)


 [ ディレクターズ・カット ]の部分の感想としては、時間が長くなった分で、乗組員個人の話(主に幹部の士官達)が増え、個人の描写が多くなった点が上げられます。
 新たにデジタル処理された音声ですが、音声の品質自体はそれほど向上していませんが、効果音は確かに臨場感が増していると思われます。最も近年の最初からデジタル録音&処理されている物と比べてしまう事に無理がありますし、基の10年以上前のアナログ音声の域を越えられないのは致し方ない所と思われます。
 後は、約3時間半の上映時間はチョットつらいものがあるかもしれません・・・。


 もし、「U・ボート」をご覧になっていないのでしたら、この機会(1999年5月7日現在)に東京・有楽町スバル座でご覧になる事をお勧めします。もしくはレンタルビデオ屋さんなどで見かけたらご覧になる事をお勧めします。
 観る価値の有る映画だと思います。



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おまけ

 映画「スターリングラード」超お勧めです。

 内容は
言葉にして表現する事出来ません。

ご自分の眼で観て、ご判断下さい。

 この映画は、「U・ボート」のスタッフらにより製作されたのですが、内容が少々凄惨なシーンが有る事とを我慢できれば、ぜひ「戦争が嫌いになる」まで繰り返しご覧になる事をお勧めします。



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参考資料

 このページを作成するに当り、以下の資料を主に参考とさせて頂きました。
★U・ボート[ ディレクターズ・カット ] (映画パンフレット) 日本ヘラルド映画 編/刊
★読売新聞 1999年4月26日夕刊 U・ボート完全版の紹介記事



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