TVアニメ
ガサラキ
[ 餓沙羅鬼 ( GASARAKI )]
の感想


作品の紹介感想おまけ参考資料関連リンク

Shima_net Web >>

U・ボートの感想のページへ 最初のページへ コラムの表紙のページへ
開設 1999年08月12日 更新 1999年10月02日


ちょびっとガサラキ風(靖国神社にて)
「桜」特集 -2000-


このページの先頭へ


作品の紹介

 この作品は、有名なロボットアニメ「機動戦士ガンダム」(富野由悠季 監督)などと共にリアルロボット路線を確立した、「装甲騎兵ボトムズ」監督の高橋良輔氏が数年振りに手がけたリアルロボットアニメです。

 「ガサラキ」の時代設定は極近未来に設定されていて、登場するロボット(TA:タクティカル・アーマー 及び MF:メタル・フェイク)などの特殊な武装と餓沙羅鬼に関係するもの以外は、政治/経済的背景は現在の世界観とほとんど変わらない様な設定になっています。

 この物語の簡単なあらすじは次の様なものです。


 日本の豪和と云う一族が率いる軍事企業が、マイル1と呼ばれる特殊な人工筋肉を使用した二足歩行型兵器TA(タクティカル・アーマー)を開発していた。
 この人工筋肉組織は「自己制御機能を持ち、一つで様々な機能を形作る巨大複合分子。」で、その蓄えられた記憶(情報)を処理する能力と、筋肉として動作するエネルギー(物理的な力)を発生する原理が、未だ解明されていない特殊なものだった。

 実は、この人工筋肉は一千年以上も前の伝承の武具である骨嵬(クガイ)の物質的組成を研究して開発された物で、豪和家は骨嵬を受け継ぐ傀儡子(くぐつし)の末裔だった。
 そしてこの骨嵬は、神事である余流能楽と云う餓沙羅(ガサラ)の舞を傀儡子の中でも嵬(カイ)と呼ばれる鬼寄(ものよせ)が舞う事により、餓沙羅鬼(ガサラキと呼ぶ降誕現象)を呼び出して(発現)その力により作られたと伝えられていた。

 しかし、この現象は閾(しきみ)と呼ばれる神依りの地でのみでしか発現せず、しかも神事を執り行う嵬の命を奪い去ってしまう事もある危険なものであった。
 この為と、骨嵬の力そして餓沙羅鬼の降誕現象の力(餓沙羅鬼の焔又は天の焔(槌)と呼ばれた)による恐怖と、この力を利用する野望の混乱を怖れ、豪和の祖先である軍事豪族の渡辺一族はこれらの伝承を封印同然にしてしまった。

 だが、現代の豪和家は四男の豪和ユウシロウの嵬としての力を、骨嵬の機能を採り入れた(似せた)TAを操縦させる事によりその能力を適用/向上させた上で、鬼哭石の郷の石舞台(閾)でユウシロウに餓沙羅の舞をさせて餓沙羅鬼を呼び出そうとしていた・・・。



 この頃、TA部隊を擁する特務自衛隊の一派は、アメリカが小麦の不作を理由に穀物輸出モラトリアム(一時停止)を実行するとの情報を得ると、この対抗策として日本の全短期金融資産(ホットマネー)を集中投入し経済戦でアメリカを追い詰め、さらにこの混乱に乗じて日本に独裁的政権を樹立させるクーデターを起こす事を計画していた・・・。



 豪和家の長男で実質的な支配の中心人物である豪和一清は、TA開発に協力して特務自衛隊一派のクーデター計画に参加しつつも、餓沙羅鬼の力の再現については打ち明けず、一清自身で何かを企て様としていた・・・。



 ほぼ同じ頃、強大な多国籍企業であるシンボルは、中央アジアのベギルスタン共和国でナダの実験(ガサラキ現象と同じ事)を実行しようとしていた。
 この実験はインヴィテイター(嵬)のミハルを被験者として、砂漠地帯に在る神殿の丘と云う遺跡の場所(GSポイント:神依りの地)で彼女の身体機能を生体化学的に極限状態(ガサラの舞と同じ状態)にする事により、ナダの現象を再現させようとしていた・・・。



 奇しくもユウシロウの餓沙羅の舞とミハルの実験は同時に行われた。そして二人の精神はお互いに干渉し合う。
 実は彼ら嵬は、幾千年にも及ぶ過去に生きて来た嵬達の記憶が遺伝子に記録されている特殊な人種であった。
 その過去の意識が餓沙羅鬼の恐怖を思い起こさせて、ユウシロウは自らの意思で舞(実験)を中断させてしまう。

 現象再現はそれぞれ失敗してしまう。

 石舞台ではあと一歩の所で空間の歪み(餓沙羅鬼の焔)が還ってしまい、神殿の丘では大爆発が起きてしまった。



 神殿の丘の大爆発は大量破壊兵器(核兵器類)の実験と思われしまい、国連安保理は査察団の派遣を決める。しかしシンボルはベギルスタン共和国に査察受け入れを拒否させた為に、アメリカ軍などの多国籍軍が出兵する事になる。

 ナダの実験を秘匿する為にシンボルは二足歩行型兵器MF(メタル・フェイク)のイシュタルMk-2を出撃させ、多国籍軍の機甲部隊を撃破してしまう。

 豪和は、神殿の丘の爆発はガサラキ現象であり機甲部隊を撃破したのは二足歩行型兵器と判断し、特務自衛隊の一派と共謀してユウシロウが所属する17式TA<雷電>の研究をしていたTA実験中隊のベギルスタン派遣を強行する。

 そして、ユウシロウとミハルは遭遇する事になる・・・。


 以上が自分なりに簡単に纏めたガサラキのあらすじです。


 次の様に巷(製作者サイド?)の人に評価されている
”小難しくて変な作品「ガサラキ」”

(ガサラキ DVD Vol.1 パンフレット ガサラキ類苑 野崎透 著 より引用)
は、1998年10月から1999年3月迄の間にテレビ大阪系で25話分放映され、バンダイビジュアル(株)よりビデオなどでも順次販売されていますので、ぜひご覧になる事をお勧めします。



このページの先頭へ


感想

 正のメッセージが、

「変わらない時など無い、変えられない運命など無い。」
「運命の糸に引っ張られる操り人形じゃない。」
「自分の時、自分の生を生きるため。
  無窮の力も永遠の生も幻想に過ぎない。
   人は人として生まれ、人として死ぬのだ。」
「どんなに大きな力よりも、この一瞬に息づく喜びや悲しみの方が大切。」
「自分の命を精いっぱいに生きる。それが限られたものであろうとも。」

であるならば、負のメッセージは

「破壊・・・。そう、真の創造は破壊の中から生まれる。
  その破壊と創造を司る事によって、
   この身は始めて歴史を操る人形使いとなる。」
「・・・全てを拒むため。
  この国が築き上げて来たあらゆる秩序を破壊する。
   時の足跡を全て破壊し、新たな時の支配者となる。
    ・・・そして世界を・・・。」
「・・・行き着いてみせる。究極の破壊へ・・・。」

であり、そして中間的なメッセージが

「死を拒む者は、永遠に時の狭間で生きる亡者。」

でしょうか。

 これらのメッセージのテーマは、人間(生命)が生きて行く上で、常に存在する最大の矛盾点と思われます。
 これらの正負の立場は、正のメッセージは「保守的」なイメージになったり、負のメッセージは「革新的」なイメージにも変わり得るからです。
 そして、「保守的」な立場も良くわかるが「革新的」な立場も捨てがたい、と悩む事もあれば、

「主体性無き迎合と無責任。圧倒的な無関心から生まれる無理解。」

による、どっちつかずで曖昧に過ごして中間的メッセージにある様な「活力の無い生きる屍」同然になってしまう事もあります。

 これら三つのテーマと、仲間/組織/家族などの「共同体」の在り様と、理想について、これらの非常に難しいテーマを短時間に詰め込み絡み合わせた、素晴らしくて面白い作品に成っていると思いました。


 ほぼ同様なテーマは、高橋監督作品の「装甲騎兵ボトムズ」や「機甲界ガリアン」などでも取り上げられていますが、今回の「ガサラキ」はこれら作品の集大成の様な感じに仕上っています。

 確かに少々難解な所も有りますが、物語の展開がスピーディーで予測し難く、とても面白い作品でした。
 設定もリアルで演出も素晴らしく作画も丁寧に仕上っており、色々と批判も有る様ですが、様々な内容を短時間に纏め上げており、物語としては今までの高橋作品の中で一番良かったと思います。




 「ガサラキ」は久々にハマッてしまったアニメ作品です。
 物語の展開がスピーディーで予測し難く、その日の放映が終わると次週が待ちどうしくてしかたありませんでした。
 何かと批判の多い難解な設定が、どの様に展開されて行くのかが逆に楽しみでした。
 特に24話が終わり次回が最終回と予告されると、
  「いったいどうやって謎や展開を終息させるのだー。」
と、非常に待ちどうしくも???な複雑な心境になりました。

 ここから以下では、物語の中の個々の部分についての感想(ツッコミ?)を述べたいと思います。

穀物輸出モラトリアム(一時停止)について
西田先生について
人間の業について
TA(MF)について
派手なドンパチについて
ムラチュウについて
ガサラキとエヴァについて

穀物輸出モラトリアム(一時停止)について
 まさかアニメでこの様な話が出て来るとは思いもよりませんでした。
 この問題は、実は現在の日本にも当然関わってくる重大な問題です。現在の日本の食料の大半は国外からの輸入に頼っているからです(参考資料)。そしてアメリカは世界最大の食料輸出国であります。

 この問題の17話「混沌(こんとん)」の放映前後、NHK特集「世紀を超えて」の放映が開始され、その「地球 豊かさの限界」の第1集と第2集で農業問題が取り上げられて、世界の穀物生産状況と多国籍企業の穀物輸出商社カーギルが大きく紹介されました。

 アメリカに本社を置くカーギルはアメリカの穀物輸出量の1/4を扱う大企業ですが、株式は非公開で創業者一族が約85%の株を保有しています。
 この為に経営内容を公開する義務のないカーギルはある時、アメリカ政府などに報告する事無くアメリカ年間取引量の1/3もの穀物をソ連に輸出しました。1970年代初頭からソ連政府は国内の穀物の不作に悩んでいて、穀物商社のカーギルに極秘に接触していたのです。
 輸出が完了する迄この事を秘匿していたので、穀物の価格は大きく変動する事無く取引が行われました。

 この事を教訓にして、アメリカ政府は穀物の輸出に色々な制約を設け、外交政策を有利に行う手段として利用する様になりました。

 丁度このNHK特集を観た後に「ガサラキ」で穀物モラトリアムの話が始まったので、非常に現実味が有ってさらに楽しみが一つ増えた様な感じになりました。
 もし自分がこのNHK特集を観ていなければ、話の中に「カーギル」の言葉が出てきても聞き流してしまう程度にしか感じられなかったかもしれません。

 しかしこの事は、自分には凄く興味の湧く要因の一つになりましたが、一部の人には日本の全短期金融資産(ホットマネー)を集中投入する手法の経済反撃作戦と共に「ガサラキ」自体の話をさらに小難しくした要因の一つにもなりました。

個々の感想の一覧に戻る

西田先生について
 最初に西田先生が現れた時に、「何だ?この右翼の爺さんは?こんなの登場させて大丈夫なのか?」と思いましたが、話が進むと「今の一般的な右翼の人達とは違うな」と思うようになりました。

 この西田先生は、独裁的な軍事クーデターを画策しますが、かと言って民主主義を完全に否定する訳でもなく、恐るべき洞察力を以ってアメリカの穀物モラトリアムを正確に予測してホットマネーを利用した経済的対抗策を立案し、その余波の経済的大混乱を利用して軍事クーデターを成功させ、最終的な目的である日本(人)を貧しくして本来(古来)の日本(人)の姿を取り戻す事を理想とする人でした。

 しかしアメリカが軍事的に日本の経済対抗策を頓挫させる事に失敗して穀物モラトリアムを解除すると云う選択をすると、日本は経済戦を実行する意味が無くなった為に軍事クーデターも効果的では無くなり、計画を完全に中止させる為に西田先生は自刃と云う最後を選んでしまいます。

「戦いは、それを始めるよりも
  終わらせる方が遥かに難しい。
   皆さん、その事を今一度思い起こして頂きたい。」

 そして遺志として、広川中佐ら特務自衛隊のクーデター参加要員に対し特務自衛隊の解隊を遺します。実はその究極の目指す所は、

「地上(日本そして世界)から
  国権の発動たる軍事力を抹消する事。」

だったのです。正に究極の理想だと思います。


「出来る出来ないではありません。それはやらねばならぬ事。」


 だが、この理想に対する西田先生の最後に接しても、一清は

「西田さん、あなたは自らの理想に対して余りにも純粋過ぎた・・・。
  理想と云う構築物は
   人と相容れないものだと知っていた筈なのに・・・。
    結局、我一人か・・・。」

と言い、「餓沙羅鬼」を呼び出して究極の破壊を目指します。

個々の感想の一覧に戻る

人間の業について
 豪和一清や渡辺綱が抱く野望は、「人間の業そのもの。」とのFの言葉に有る様に、様々な戦争などによる惨劇で幾度となく歴史上に示されてきました。
 近年では日本軍の大陸侵攻やナチスドイツ第三帝国の虐殺行為そしてアメリカの覇権主義などで、身近な所ではオウム真理教のテロ行為などでしょうか。

 だが、一清らが目指す「究極の破壊の後に新たな支配者となる。」とは、詰まる所「変わらない時など無い、変えられない運命など無い。」にも通じる所があります。

 人間(生命)は、常に他の生命を摂取していかなければ自身の生命を維持して行く事が不可能です。
 この遺伝子に刻まれた単純な営みは、外部からの養分の摂取から、他の生物を殺して摂取されるようになって喰うか食われるかの戦いが始まり、やがて生活圏の奪い合いとなり、そして同属同士で争い合う様になって行きます。
 この為に、何を為すべきかを常に自分自身に問い続けて行かなければ、直ちに自分自身を見失って暴走し、最終的には自然体系すらをも破壊してしまう事になるでしょう。

 しかしながら、「何を為すべきか」の明確な答えは現実には存在し得ません。
 そうして、大きな絶対的な力として「不死」や「神」などの「無窮なるもの」を追い求める結果になってしまいます。

 だからこそ、この矛盾に対し「常に自分自身を真剣に問い掛け続けなくてはならない。」のではないでしょうか。

個々の感想の一覧に戻る

TA(MF)について
 この作品の骨幹である二足歩行型兵器(いわゆるロボット)であるTA及びMFは、今までのアニメの中でもトップクラスのリアリティで設定されています。この為に、様々な方面から激しい批判の対象にも成っています。
(リアルに成れば成るほどツッコミ易くなるから?。)
 確かに自分も輸送機からぶら下がって敵戦闘機を攻撃したのには、さすがに「はにゃ〜?」とは思いましたが、ユウシロウはメチャメチャ凄い奴だと思うしかありません。

 では先ず、MFの装甲についてですが、23話「無間(むけん)」で自衛隊の普通科部隊の5.56mm自動小銃や7.62mm軽機関銃などで射距離200m程度の中距離から(超)集中射撃を受けても、主要部は貫徹せずに可動状態を保っていました。
 MFイシュタルMk-2の外観はかなり避弾経始(曲面や斜面)を採り入れているとはいえ、かなりの装甲防御力を有している事になります。少なくとも主要部の装甲厚は12mmから16mm程度に成ると思いますが、そうすると設定の全備重量5.6tの範囲に収まるのだろうか?。
 旧日本陸軍の軽戦車で95式軽戦車(全備重量7.4t)は最大装甲厚12mmで小銃弾に命中角度によっては貫徹される事もあり、より新型で避弾経始を多く採り入れた98式軽戦車(全備重量7.2t)は最大装甲厚16mmで理論上中距離からの小銃弾は防げたと思われます。尚、最大装甲厚と云うのは、正面及び砲塔周りだけの主要部(車体の30%程度)のみだけで、その他の部分は最大厚の概ね80〜60%程度以下の装甲厚になります。
 これらを考慮すると保護しなければならない主要部の多い(機体の可動部も含まれる為に70%程度以上?)MFは、装甲部分以外は相当軽量化されているか、若しくは装甲自体も軽量で超高剛性を持った物になります。でないと、とても全備重量5.6tはクリア出来ないのではないでしょうか?。それも、あれだけ長時間に亘り撃たれ続けても大丈夫だったのだから・・・。
 う〜ん、いったいどう云う構造なのだろうか?・・・。

 もう一つ、12話「綻び(ほころび)」で自衛隊の特科部隊の15榴(155mm榴弾砲)の集中射撃に耐えたTAについてですが、15榴の破壊力と云うのはかなりの威力(弾丸重量約50kg、爆発効力半径約50m)が有るのですが、17式TA改<震電>は地中に潜ったとはいえ攻撃に耐える事が出来ました。
 ちなみに旧日本陸軍の97式中戦車(最大装甲厚25mm,全備重量15t)は、車体構造が溶接ではなく鋲接だった為に15榴の至近弾による爆風で車体がバラバラになったと言われています。
 TAは可動部分が多い為に、爆風などによる衝撃には意外と脆いと思われるのですが、アルムブラストにより相当深く地中に潜る事が出来るのでしょうか?。
 しかしこのシーンは、感動的で名シーンとしての誉れが高く、ユウシロウの「インパクト」のセリフはとても人気が有るようです。確かに自分も「ほえ〜オー、スゲー。」と思った。

個々の感想の一覧に戻る

派手なドンパチについて
 大多数の高橋監督ファンの人達が、実際に「ガサラキ」に求て期待していたものは、
リアルな設定に基づいて、
  「驚異的な能力のパイロット」
  「実戦経験が豊かな古参兵」
  「対戦車ライフルを振り回す兵士」
  「3年待ったガトー少佐」
  「綺麗なお姉さんの軍人さん」
みたいな登場人物などが相対峙して繰広げられる派手なドンパチのロボット物戦闘シーン。
ではなかったでしょうか?。

 しかし、現実に放映された「ガサラキ」は
設定は非常にリアルでロボットは結構カッコ良かったが、
  「派手なドンパチは5本の指で数えられる位」
  「ロボットの出番も種類も少ない」
  「明確な敵役が居なかった」
  「主人公は結構イイ男だけど良くわからん」
  「ヒロインもカワイイけど良くわかんない」
  「一清もっと頑張れ」
  「設定の説明ばっかりだった」
  「けどガサラキって何だったの」
  「西田さんは右翼だから嫌いだ」
  「清春は何をやりたかったんだ」
  「脇坂検事もっと働け」
  「ムラチュウはお邪魔キャラだ」
  「綺麗なお姉さんはエヴァに出てた人だった」
などなど、結果的に小難しい事ばっかりだった。
(注:主にインターネット上の評判などを参照しました)
の様な厳しい批判を浴びてしまいました。

 しかしこの作品には、他のアニメではほとんど描かれた事の無いものが多く含まれていました。
 世界設定は現実に近いものであり、このお陰でクーデターなどの政治的手法もリアルに描かれましたし、何より骨幹であるロボットの描写も今までのアニメの中で一番リアルに出来ていたと思います。

 数の少ない派手なドンパチ描写ではありましたが、その内容は充分に濃いものだったと思います。
 確かに非現実的なものが骨幹ですから「はにゃ〜?」な所も少々有りましたが、それでも今までのロボットアニメに比べれば、現在の最先端技術を十分に考慮して、遥かに現実的な描写に仕上っています。
 ボトムズの「AT」に比べると、ロボット兵器としての描写の躍動感は「TA(MF)」の方が明らかに劣りますが、機能的な設定は充分にそれを上回っています。

 だけど、どうしても一つだけ描写してもらいたかったものは、TAとMFがメンタルバースト無しで一対一でフルに機能を出し合って烈しく戦う戦闘シーンを観て見たかったです。

個々の感想の一覧に戻る

ムラチュウについて
 一部のファンの人達には非常(異常)に嫌われているムラチュウですが、もし実験中隊に村井中尉が存在しなければ、実験中隊と云う組織はその性格から非情に「いや〜ん」な感じの部隊になってしまうと思われるのですが?。

 ちなみに、自分が陸自にいた時に食べた携行糧食の「たくあん缶」はとても美味しかったですよ。もちろん「ピザまん」も大好きです。
 「焼き芋」も好きなのですが、こればかり食べ続けるのはゴメンナサイなので真剣に日本の食糧自給率(参考資料)について考えて行きたいと思っています。

個々の感想の一覧に戻る

ガサラキとエヴァについて
 この件で自分が似ているかなと思ったのは最終の25話「餓沙羅(ガサラ)」で、巨大生体コンピュータの世界にユウシロウや一清らが誘われたシーンなどの一部は、演出方法が確かに似ていると思いました。しかしそれは演出上の技術的な事で、話の内容は大部異なっていると思います。

 また、安宅大尉がミサトさんに似ているとの事ですが、自分はそれを指摘されるまで気付きませんでした。確かに言われてみればソックリと言えますが・・・。

 この他に類似点を見付けようと思えば、確かに細かい所は各所にソックリな事が多々有るように感じられますが、一つ一つは細かいので省略します。それに細かい所を比較しても話の筋には関係無く意味の無い事と思われます。

 まあ簡単にこの件に関して言うならば、エヴァンゲリオンとウルトラマンが似ていると言えば言えなくも無い事と概ね同じ程度の事だと思います。
 最も自分はエヴァは映画の2作しか観ていませんから、大きな事は言えませんけれど・・・。

個々の感想の一覧に戻る


このページの先頭へ


おまけ


主な高橋監督作品

 ここでは高橋氏が携わった数ある作品の中から、ロボットアニメの主な三つの作品をご紹介します。

 以下の作品の他には、「ダグラム」や「レイズナー」などのロボット物や、「ザ・コクピット」の「鉄の竜騎兵」などが有ります。
装甲騎兵ボトムズ
機甲界ガリアン
機甲猟兵メロウリンク

装甲騎兵ボトムズ
 主人公キリコ・キュービーが、異能者(異能生存体)である事を廻って、さ迷い戦い続ける物語です。

 この物語に登場するAT(アーマード・トルーパー)は、非常に完成度の高いロボット兵器として描かれています。現在でもこのATは根強いファンによって語り継がれています。もしかしたら、ATの模型ファンはMS(ガンダムのモビルスーツ)の模型ファンよりも生き延び続けるかもしれません。

 また、ATばかりではなく物語としても充分に中身が濃くて完成度の高い傑作です。TV版は約1年間に亘って放映され、ウド編,クメン編,宇宙/サンサ編,クエント編の4つで構成され、それぞれ独自に見ても十分に楽しめます。
 正にロボットアニメの最高傑作と評しても良い程の作品ですので、ぜひご覧になる事をお勧めします。

主な高橋監督作品に戻る

機甲界ガリアン
 惑星アーストを支配しようとする征服王マーダルに立ち向かう王子ジョジョの物語です。

 登場するロボット兵器はリアル指向のATと比べると一転して西洋甲冑のファンタジー風ですが、機能的には結構リアルに設定されています。敵役のロボット兵器(機甲兵)は、主力の人馬兵、一部エリートの飛行兵、砲兵部隊の重射兵などと体系的に構成されていて、中々見応えが有りました。尚、登場兵器を模型にした時のデザインは中々良いもの(蛇神兵とか邪神兵とか邪心兵とか)が有ると思うのですが、それ程は流行りませんでした。

 最初の頃は単純明快なアニメかと思ったのですが、実は敵のマーダルが中々の曲者です。作品としての完成度も優れていますので、最後まで見届ける事をお勧めします。

主な高橋監督作品に戻る

機甲猟兵メロウリンク
 味方に騙されて全滅した猟兵小隊の生き残りのメロウリンクが、騙した上官達に復讐して行く物語です。

 この物語はボトムズの世界観で繰広げられており、設定もボトムズとほぼ同じで非常にリアルに出来ています。尚、高橋氏は監督としてではなく原作及びシリーズ構成として参加しています。

 主人公はATに乗り込まず、対ATライフルを使用して敵の上官達が操るATなどと戦います。この戦いが「はにゃ〜?」な所も有りますが中々見応えが有って面白いです。又、戦闘シーンの描写も、鋲接の装甲部分にライフル弾が命中するとリベットが取れたりする所等など、結構細かく丁寧に描かれています。

 この話の中で面白かったのは、第3話「ジャングル」に登場する荘園領主スタブロス(スヌーク少佐)と部下ゴメスのコンビとその手下達が結構笑かしてくれます。
 彼らのAT部隊は、TA実験中隊顔負けの統制戦闘を繰り広げて歩兵のビーラーゲリラ達を駆逐します。
ビーラーゲリラが屋敷にロケット弾攻撃を開始する
ゴメス: やつらの位置は確認できたか?
手下: 南側のジャングルです!
ゴメス: ビネット!カズン!
お前ら、どこほっつき歩いてんだい!
ビネット: もちろん南側のジャングルでさ〜!
カズン: 今やつらを追ってまさ〜!
ゴメス: バカヤロどもめ、何をもたついてる!
さっさとぶっ潰しちまえ!
ビネットとカズンがビーラーのロケット砲を爆破炎上させる
カズン: 俺達の位置が確認できましたかい?
ゴメス:(爆発を見ながら)
 ようし、俺の分もとっておけよ!
カズンのATがビーラーに撃たれる
ビネット: チキショウ!!
ゴメス: どうした?報告しろい!
ビネット: カズン機がビーラーのバズーカで足をもがれました。ゲリラはそちらの方角に逃げたらしい。
ゴメス: ちぇ、まぬけめ。
とっととATを回収してお前らは帰れ!!
ビネット: ヘイ、了解!
 こんな感じで見事な統制戦闘が続けられます。ね、鏑木大尉もビックリの内容でしょ?

 この後の、ビーラー達を倒し終えてからの、丘の上で夕日を愛でるスタブロスとゴメスの後姿が何とも言えぬ味が出ていて面白い(メロウリンクのシーンで一番印象深い?)のですが、しかし一番笑えたのはゴメスの最後でした。
メロウリンクがゴメスのATを擱坐させる
ゴメス: 助けてくれ〜!親方様〜!少佐殿〜!!
スヌーク少佐殿〜〜!!
スタブロス: おのれ!メロウリンク!!
ゴメス: 助けてくれ〜〜!!
スタブロス: やかましい!!
少佐が誤ってゴメスのATを撃つ
ゴメス: 少〜佐〜殿〜
ゴメス機、被弾して爆発する!!
スタブロス: お?!う〜ん!逃がさん!!
 この回の他にもATのリアルな戦闘シーンの見所が沢山有り、純粋なロボットアニメとしては非常に完成度が高い作品です。

主な高橋監督作品に戻る


このページの先頭へ


参考資料

 このページを作成するに当り、以下の資料を主に参考とさせて頂きました。
★TVアニメ 「ガサラキ」 サンライズ 製作 テレビ大阪系 放送
★「ガサラキ」 DVD Vol.1〜4 サンライズ/テレビ大阪 製作 バンダイビジュアル(株) 販売
★「ガサラキ」 1.戦術甲冑 野崎 透 著 (株)角川書店 刊
★ロマンアルバム アニメージュ・スペシャル GaZO 画像 Vol.3 (株)徳間書店 刊 より
  [ 野崎 透(ガサラキ脚本)インタビュー ]  [ ガサラキ 全25話 ストーリー紹介 ]
★「機甲猟兵メロウリンク」コンプリート・ステージ・ファイル サンライズ 製作 (株)バップ 販売

★食料自給率早見ソフト農林水産省ホームページよりダウンロード可能)
 著作・監修:農林水産省 企画・制作:株式会社インテック (1999/06/01 Ver.1.0.1)
  http://www.maff.go.jp/soshiki/kambou/kikaku/jikyuu/jikyu_top.html
 この他にも、<戦闘装備 参考資料>に記載している資料からも一部を参考とさせて頂きました。



このページの先頭へ


ガサラキ関連 リンク




このページの先頭へ



(C) 1999 Shimanet